森を利用することで、森を育てる。前田建設が森林保全活動をする理由。
木材の利用に当たって重要なのが、伐採して加工し建物を建てる以前の、木を植えて育てる森づくり。限られた国土の中で木材を利用し続けるためには、植林、下草刈り、間伐などの地道な活動を続けることで、森林の健康を保ち資源を循環させていく必要があります。 ご存知の通り、大規模木造建築にはたくさんの木材が必要です。それらの木材に、どんな木を使うのか。前田建設は、ただ木を使って建てるだけでなく、その木がどこでどうやって育ったかにも目を向けていきたいと考えています。 「建てる」だけでなく、木を「育てる」プロセスも大切にしていきたい。私たちはそんな想いで、森林保全活動を行います。 前田建設では自治体や森林組合を通じ、地域社会やNPO法人の皆様とともに森づくりを行っています。森づくりの場所については、社員や家族も活動に参加し、またその活動を継続できるよう当社の支店や営業所、大型現場近郊を中心に選んでいます。今後は地域の子どもたちへの環境教育や自然観察などのイベント開催など、より地域に密着し地域社会と交流が図れる場所となる森づくりを目指しています。 長野県佐久市大沢にある「MAEDAの森 佐久」はもともとヒノキやカラマツが植えられていた人工林でした。放置され手入れが行き届かずに荒廃した森となっていたので、立木を伐採して土を整え、再植林。林道がすぐ森の横を通り木材の出し入れがしやすい立地だったので、建築用材として活用できるヒノキを植林しています。 同じく佐久市内の「MAEDAの森 佐久2」は森の手入れが滞ったために、60年生のヒノキが雑木と混在する針広混交林となっています。以前より大沢地区の地域住民の皆様から薪ストーブ用の薪がとれる森が欲しいとの声があり、伐期を迎えたヒノキを伐採出材し、のちにコナラを植えて広葉樹の森とすることにしました。 コナラは薪や炭の材料となるだけでなく、どんぐりが実る木なので、野生動物の食糧にもなります。また建築用材の生産には最低でも60年かかりますが薪炭用であれば15年ほどで収穫することができます。さらに、広葉樹は萌芽更新(切株から新しい芽が生えてくる)するので、伐採後に新たに植林する必要がありません。 それぞれの土地の状況にぴったりな森林の管理をすることで、持続的に森の恵みを利用することができ、木材やエネルギーの地産地消に繋がります。 このように前田建設は、全国で草の根的に森を育てる活動を進めています。少しだけ、前田建設が森林保全活動を行っている理由をご説明させてください。 前田建設は、事業・企業・個人の領域で一丸となって環境活動に取り組んでいます。「地球」を大切なステークホールダーと位置づけ、2010年より連結純利益の2%を「地球への配当」として拠出し、MAEDAの森をはじめとしたさまざまな環境保全活動を推進しています。 2016年度から、私たちは「CSV-SS(Creating Satisfactory Value Shared by Stakeholders)経営」を掲げ、社員一人ひとりが調和のとれた社会の姿とは何かを描き、仕事を通してそこへ向かって前進する方法を探り続けています。 建設会社でありながら、木が育ち木材になっていく「建設」以前のプロセスも大切にしているのには、そういった理由があります。「建設」以前のプロセスを実践することで、本業である建設事業をより社会的価値の高いものへと磨いていくことができると考えています。 前田建設は、建設ほか事業を通して社会課題を解決することで「社会価値」と「企業価値」を両立させることを目指します。 今回は森林保全活動について、前田建設の事例を軸にしてご紹介しました。こういった活動は、森林や林業、木造建築のあるべき姿について考えてみる機会になるのではないでしょうか。私たちも「MAEDAの森」の活動を通して、事業との相乗効果を高めていきます。全国に広がる、MAEDAの森とは
地産地消を目指す森づくり 前田建設の森林保全。
なぜ前田建設は森を育てるのか