木の特性を建築に活かすには。主要な木材の種類と特徴まとめ
木材(木質材料)にも様々な種類があり、それぞれに特徴や個性を持っています。素材である木の切り出し方やつなぎ合わせ方によって、木材の持つ性質が変わります。一本の同じ丸太から、サイズの限界や強度、材の表面の見え方などが全く異なるバラエティに富んだ木材に加工することができます。 古来より伝統的に用いられている無垢の材に加えて、現在では木材を二次加工することによって強度のばらつきや腐敗などの欠点を補う技術が進んできています。集成材やLVL、CLTなどはエンジニアリングウッドとも呼ばれ、広く普及してきています。 木材の作られ方を知ることで性質を理解し、その性質を活かした建物の設計を行うことが重要です。 木は伐採後、十分に乾燥させた後様々に加工されます。 丸太から直接切り出された無垢の材はサイズに応じて「製材」や「ラミナ」と呼ばれます。製材はそのまま建材として使われるのに対し、ラミナは主に加工に用いられます。小角材ラミナを貼り合わせると「集成材」となります。丸太を「桂剥き」にした薄い単板を「ベニヤ」と言い、ベニヤを張り合わると「合板」となります。 木は地面から空に向かって立っている方向、根から葉の先端に向かって縦方向に繊維が走っています。木材はこの繊維方向に強度が高いという特性があり、木を貼り合わせるなど加工する際にも繊維の方向が重視されます。 丸太から直接切り出した材。木材はどれくらい水を含むかによって強度に大きな差が生まれるため、しっかりと乾燥させることが何より重要です。乾燥時の材の収縮による割れや狂いを防ぐため、事前に適度な深さの溝をいれる「背割り」という技術が用いられます。また近年では背割りを行わなくても材の内部まで乾燥させる人工乾燥技術も確立されつつあります。 丸太から切り出されたラミナを、繊維方向を揃えて接着したエンジニアリングウッドです。製材に比べると反りや狂いがでにくく、温湿度差が大きい環境にも適しています。ラミナを貼り合わせることで強度を保ったまま長さを出すことができ、一般的に6m以上の長さの場合製材よりもコストが抑えられます。 集成材と同様、ラミナを用いたエンジニアリングウッドです。集成材との違いは、原料材の繊維の方向が直行するように張り合わされている点。集成材と同様の強度を持ちながら、長さだけでなく幅方向にも大きなパネル材を作り出すことができます。面材としての強度を活かした建築を行うことができ、様々な工法に活用できます。日本では2016年4月に基準強度が定められたばかりで、普及が期待されている木材です。 ベニヤの繊維方向を一層ごとに直行させて接着した面材。安価で大きな面材を作り出すことができ、様々な用途に用いられています。基本的には下地や構造用として使われますが、合板の木目の特性や質感を活かしてあらわしとして用いることもできます。 ベニヤを、繊維方向を揃えて接着した木材。通常は大きな板状の原版として貼り合わされます。通常2~4㎜のベニヤによって構成され、完全に乾燥された単板によって作られるためサイズの狂いが出にくい木材です。原版を幅方向に切り出し、柱や梁などとして利用されることが多くなっています。 木は太古の昔から利用されている建築材料ですが、加工技術の発展によって活用の幅が広がってきています。木材の作られ方を大掴みすることで、その特性が頭に入りやすくなります。木の個性や特徴を理解することが、木を活かして建てることの第一歩となるのではないでしょうか。木材の作られ方と木の特性
製材
集成材
CLT(Cross Laminated Timber)
合板
LVL(Laminated Veneer Lumber)