前田建設・農林水産省・経済産業省・環境省の4者で 「持続可能な社会の形成に向けた木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結しました
2024年11月12日に、前田建設、農林水産省、経済産業省及び環境省は「持続可能な社会の形成に向けた木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を、農林水産省特別会議室にて締結しました。
この協定は、前田建設と3省庁が連携・協力することにより、前田建設が立案した「建築物における木材の利用の促進に関する構想」に基づく取り組みを促進し、その達成に寄与することを目的としています。この構想には、循環型社会への貢献や技術開発による利用用途・領域の拡大、および産業の持続的な発展と地域の環境保全への貢献がうたわれています。
また今回、建築物木材利用促進協定を農林水産省だけでなく経済産業省、環境省とも締結した背景には、木造・木質建築の推進、木材を活用した建材などの開発、すでに地域連携を始めている飛騨市との取組における森林の健全な循環形成など、前田建設の木材利用関する取り組みが、いずれの省庁にも深くかかわっているとの認識に基づいています。
協定締結式では、まず林野庁木材利用課難波課長より、構想の達成に向けた取り組みの内容について説明があり、その後、4者それぞれからこの協定に対する思いや意気込みが語られました。
■農林水産省林野庁 青山長官のコメント
本日は、前田建設との建築物における木材利用促進協定のお披露目式が開かれること、大変うれしく思っています。
令和3年の都市(まち)の木造化推進法の施行からこれまでで、国との協定が22件、地方公共団体を含めると150件の協定を締結しています。前田建設には特に中大規模木造の推進に力を入れてもらっており、非常に感謝しています。今回の協定ではカーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミー等をPRしていただけるということで、これらを通して事業者や取引先の皆様への訴求効果が高まって、さらに木材利用の推進が図られることを期待しています。本日はよろしくお願いいたします。
■経済産業省 浦田大臣官房審議官のコメント
経産省としては2050年のカーボンニュートラル達成に向けて様々な政策に取り組んでいます。昨年5月にはGX推進法が成立、7月には法律に基づくGX推進戦略が閣議決定されました。この戦略の中で最初に触れられているのが徹底した省エネの推進です。この中で住宅建築分野の取り組みとして、ZEB・ZEH水準の省エネ性能の確保、建材トップランナーにおける目標値の改訂や対象拡大などの方針が盛り込まれています。前田建設はすでにZEBプランナーに登録しており、建築物のZEB普及推進に積極的に取り組んでいただき感謝しております。幅広い顧客層をもつ前田建設の取り組みが、本日の協定締結によって加速化していくことが我が国のカーボンニュートラルの促進において大きな意味があるのではないかと思います。
経産省としてはこの協定のパートナーとして、省エネ法の運用面、ZEBに関する政策動向、活用可能な補助事業情報の積極的な支援を行ってまいります。
■環境省 堀上大臣官房審議官のコメント
本日、このような協定が締結できたことをうれしく思います。特に前田建設は、施工段階でリサイクル率を2030年までに100%にするという目標を立てており、さらに生物多様性の分野でも自然共生サイトをICI総合センターで認定を受けていただいています。
今回の協定の中でも地域活性化と循環経済の実現に向けた地域材の積極的な利用、ZEB・ZEH-Mの積極的な提案もしていただくことに加え、木造や木質化に関する技術を幅広く取り入れている点を高く評価しております。今週からCOP29がアゼルバイジャンで始まっていますが、ネットゼロ、サーキュラーエコノミーといった様々な分野におけるシナジーをさらに強くすることがいま求められています。そういう意味で、建築物への木材利用推進は非常に期待されている領域ですし、これを機にぜひ一緒に協力しながら進めていきたいと思っています。
■前田建設 脇屋本部長のコメント
協定締結の運びとなったこと、厚く御礼申し上げます。前田建設は本業を通じた社会課題解決による、持続可能な社会の構築に向けたCSV経営に取り組んでいます。中大規模木造建築物への木材利用については10年ほど前から取り組んでおり、ZEB、ZEH-M、再エネに並ぶ環境技術と捉え、今後この可能性を広げていきたいと考えています。
昨今の社会状況を考えると、環境価値の重要性がますます高まり、事業主にこれまで以上にその価値についてしっかりと伝えていかなくてはならないと思います。また、地域連携についても木材の健全な循環形成において非常に重要な役割を担っています。その中で今年8月、岐阜県飛騨市と地域連携協定、10月に飛騨市、ヒダクマ及びツバメアーキテクツとの4者において木材利用促進協定をそれぞれ締結しました。まずは、森林の価値についての社員教育や飛騨産木材の利用促進への取り組みから始めていきたいと考えております。
これらの取り組みの実践において、農林水産省、経済産業省と環境省の皆様からの技術的助言をはじめとした積極的な意見交換をさせていただきながら、ご支援を頂けますよう何卒よろしくお願いします。今回の協定を契機として、持続可能な社会の実現に向けた建築物木材利用促進に向けて前田建設は一層努力していくことを誓いまして、ご挨拶に代えさせていただきます。
<構想の達成に向けた前田建設の取組内容>
- 木造・木質化の可能性のある事業主への木材利用に関する意義、環境効果、長所などを明記した前田建設オリジナル資料の提供を行う。
- 地域活性化に向けた地域材の利用や、木造による大空間の創出、都市への木材の積極的利用などを求める事業主のニーズに寄り添った設計を行い、それにより生まれるカーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーに資する効果の見える化を行い、提供する。
- 非住宅における新築及び既存改修の新規設計案件において、ZEBシリーズ採用率を令和11年度までに40%にするための積極的な提案を行う。また、集合住宅ではZEH-Mの積極的な提案及び木造・木質化等の環境技術を建築物に取り入れる提案を事業主に積極的に実施して、カーボンニュートラル実現に貢献する。
- 中大規模木造の領域を拡大し促進するための新築及び既存改修に使用可能な汎用性の高い技術開発及び設計手法の開発を木材供給事業者などと連携を取りながら推進するよう努める。
- 持続可能な木材利用を目指すため、国産材を中心とした合法性が確認できた木材を積極的に利用することとし、令和6年度~11年度までに25件の木造・木質化建築を実現、構造材及び仕上げ材で10,000㎥の国産材利用を目標とする。
- 地域連携協定を締結している飛騨市をはじめとした自然資源の保全と利活用に積極的に取り組んでいる地域のステークホルダーとの連携により、林業の効率化や用材率の向上につながる開発などを行うことで、森林の健全な循環形成を促進するスキーム作りに貢献し実践する。
<前田建設に対する3省庁の支援>
3省庁は前田建設の構想の達成に向けて、技術的助言や活用可能な補助事業等の情報提供を行うとともに、意見交換や木材利用に関する相談窓口・専門家の紹介などを行う。また、本協定に基づく前田建設の取組について積極的に広報する。
<構想の対象区域>
全国
<本協定の有効期間>
2024年11月12日から2029年9月30日まで
前田建設はこの協定を通じて、建築物における木材利用促進だけでなく、森林の循環にも貢献し、地域社会とも連携を図りながら脱炭素社会・持続可能な社会の実現を目指してまいります。