第4回「とうかいぼうし」~耐火建築物等その2~|建築基準法改正を(辛口で甘めに)斬る!
前回は建築基準法における新しい防火関連規制の3つの切り口をご紹介しました。 今回は「とうかいぼうし」について見ていきましょう! 1987年(昭和62年)の改正で大規模建築物の定義が高さと面積の2つに分かれて 今回の改正では、高さ大規模建築物が大幅に緩和されました。今までは『高さ13m超え又は軒高9m超え』だったものが、『地階を除く階数が4以上の建築物、高さ16m超えの建築物又は法別表特殊建築物(5)倉庫又は(6)車庫で高さ13m超えの建築物』になりました。新たに「階数4以上」が入りましたが、「軒高9m超え」が無くなり、高さも「13m超え」から「16m超え」に緩和(倉庫と車庫は13mのままで緩和なし)されました。 おまけに、ガチガチの「耐火構造(耐火建築物)」にしなくても「とうかいぼうし(火災時倒壊防止建築物)」にすればOKになりました。→詳しくはH01告示193号 次回は「えんしょうぼうし(市街地延焼防止建築物)」を斬ります! 【シリーズ:建築基準法を斬る!】 お問い合わせ先:株式会社確認サービス
①火災時倒壊防止建築物「とうかいぼうし」
②避難時倒壊防止建築物「ひなんあんぜん」
③市街地延焼防止建築物「えんしょうぼうし」
法第21条は大規模建築物の倒壊を防止するために設けられ、建築基準法制定時(昭和25年)から規定があります。
規制の内容は、大規模建築物『高さ13m超え、軒高9m超え又は延べ面積3,000㎡超え』は主要構造部「壁、柱、はり」を木造としてはならない。となっており、木造は火災で倒壊しやすいから使ってはダメという規定でした。
1)高さ大規模建築物『高さ13m超え又は軒高9m超え』と
2)面積大規模建築物『延べ面積3,000㎡超え』の2つに分けられ、
高さ大規模建築物には大断面集成材が認められるようになりました。
2000年(平成12年)の改正で更に大規模建築物の定義が変更され、
1)高さ大規模建築物『主要構造部「壁、柱、はり」に可燃材料(木材・プラスチック等)を用いたもので、高さ13m超え又は軒高9m超え』と
2)面積大規模建築物『主要構造部「壁、柱、はり」に可燃材料(木材・プラスチック等)を用いたもので、延べ面積3,000㎡超え』に変わり、
両方とも、その主要構造部を『耐火構造』とすればOKになりました。
昭和25年時点では「木造はダメ」と言っていたのが、平成12年に「木造でも耐火構造ならOK」と前向きな条文に変わったんです。
更におまけに、「延焼防止上有効な空地(対象建築物の高さと同じ水平距離の空地)」が確保されていれば、法第21条を適用しないことになりました。
いよっ! 大統領! 大盤振る舞い!
→旧法21条、新法21条の概要はこちらをご覧ください。 資料①「旧法21条」、 資料②「新法21条」建築基準法監修:株式会社確認サービス
http://www.kakunin-s.com/
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