WBC木材産業Under30研修会2021 を開催しました

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2021年6月28日、木材利用システム研究会と木材産業連絡協議会との共催で、木材産業で働く若手に対する研修会「WBC木材産業Under30研修会 at 前田建設工業ICI総合センター」を開催しました。
 当初はこれまでのWBC研修会同様、施設見学を含めICI総合センターでの現地開催を予定していましたが、昨今の状況を鑑みWBC研修会史上初の完全オンラインでのイベントとなりました。今回はその利点を活かし、北海道や福岡県など遠方の方にもお声がけをし、過去最大となる総勢140名以上の方にご参加いただき盛大に開催することが出来ました。

WBC(Wood Based Communication)研修会は、将来の木材産業を担う若手の皆様に、普段なかなか聞くことが出来ない木材利用の専門家による講義を通じて木材利用に関する正しい知識を習得して頂き、産官学を超えた若手同士のコミュニケーションによるネットワークの構築と木材に対する意識の向上を目的としています。まずは、Session1の弊社の若手社員が発表した事例報告についてご紹介させていただきます。

最初の発表者の構造設計者 峯さんからは、今回の研修会の開催場所となるはずだったICI総合センターにあるネスト棟と桐朋学園二期工事の事例を、構造設計者の目線でご報告いたしました。桐朋学園は教室棟を耐火建築物、音楽ホール「宗次ホール」のある講堂棟を準耐火建築物として計画することで、CLT折板現しの燃えしろ設計を実現した面白い造りとなっています。

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次に、意匠設計者の藤岡さんが報告してくれたのは、江東区有明子ども家庭支援センター。「親子にとって居心地の良い空間にしてほしい」という区からの要望に、木を取り入れた空間デザインで見事に応えています。木育の導入にもなるよう、内装だけではなく遊具にも様々な木材をふんだんに使っている所に設計者としてのこだわりを感じました。

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最後に発表してくれたのはICI総合センターの牛谷さんと林さんです。前田建設の技術開発の拠点であるICI総合センターでは、木造建築に関わる様々な研究開発を行っており、今回はその中から構造技術と木材自動加工技術の2つの事例を報告していただきました。木材産業関連の幅広い技術開発を行っていることを、広く参加者の皆様にお伝え出来たのではないでしょうか。

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続くSession2では、3Dカメラを駆使した空間移動(ウォークスルー)を活用し、臨場感のあるバーチャル見学会を参加者の皆様に体験していただきました。ICI総合センターでは、木造建築に関する研究開発以外にも、様々な社会課題の解決に繋がる新しいサービスアイデアの社会実装・事業化を推進しています。今回は残念ながらオンラインとなってしまいましたが、本来は直接施設内を見学していただくことも可能です。近い将来、皆様にお越しいただける日が来ることを心待ちにしています。

さらに、Session3では木材産業における[E]環境[M]マーケティング[P]政策 それぞれの分野について、先生方の講演をお聞かせいただき、その内容を元にSession4では参加者の皆様にディスカッションをしていただきました。木材利用システム学がご専門の東京大学教授の井上雅文先生には木材利用と地球環境について、東京大学特任助教の長坂健司先生には木材利用のマーケティングについて、また、森林総合研究所 林業経営・政策研究領域 領域長の久保山裕史先生には木材利用に関わる政策についてご講演頂きました。第一線で活躍されている先生方の講演が聞けるだけでなく、ディスカッションも出来るということで、参加者の皆様にとっても大きな刺激となったのではないでしょうか。SDGsやESGの基本から、木材需給の現状とそれにかかわる政策の変遷など、木材に関わる基礎知識が網羅された密度の高い講演でした。ディスカッションの司会を務めていただいた東京学芸大学の大谷忠先生の進行のおかげで、盛況のなか研修会は終了となりました。

このような大掛かりなオンラインセミナーを開催するのは初めての試みでしたが、内容や進め方などたくさんの気付きがありました。長時間のオンラインセミナーは画面を集中して見続けることが必要なので、実地とは違った疲労感があります。今後の研修会では、オンラインでも集中力を切らさずに疲労を軽減するための工夫が必要だと感じました。

ご参加頂いた皆様、開催にあたり多大なるご協力頂きました木材利用システム研究会、木材産業連絡協議会の皆様、この度は誠にありがとうございました!