日本初のCLT構造ユニット 八代市新庁舎が完成

■八代市新庁舎が完成!
熊本県八代市に八代市新庁舎が完成しました!
八代城跡の隣に位置しています。
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 八代市章の由来
合併した6市町村の「6」のイメージの中に八代市の「八」をアレンジしたマークを取り入れ、
新しさの中に親しみを感じさせる市章です。
青は川と海、緑は山と平野、オレンジは生活する人々の熱い心を象徴しています。

特産品「晩白柚」
晩白柚(ばんぺいゆ)という果物をご存じですか?
直径25㎝、重さ2㎏にもなる世界最大の柑橘類で八代市の特産品です。
現場では安全用具に付ける点検シールがこの晩白柚をモチーフとしたデザインになっています。当社職員によるお手製シールです。

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■工事概要
2016年4月16日の熊本地震で被災した八代市庁舎に免震の機能を加え、より安全で安心感のある庁舎に建て替えるプロジェクトです。
工事名称:八代市新庁舎建設工事
工事場所:熊本県八代市松江城町1-25
工事期間:2019年9月30日~2022年1月17日(28か月)
発注者:八代市長 中村博生
設計監理:株式会社 久米設計
施工:前田建設工業・和久田建設・松島建設 建設工事共同企業体
建物用途:事務所(庁舎)
構造規模:S造 地下1階、地上7階(杭基礎、免震構造)
     CLT構造床 2Fスラブ~6Fスラブ 準耐火構造物
敷地面積:23,928.55㎡
建築面積:5,568.99㎡
延床面積:27,520.50㎡(CLT面積:4,248㎡)



■CLTとは?  -Cross Laminated Timber(直交集成材)-
この八代市新庁舎は日本で初めてCLT構造床ユニットで構成されました。
CLTとは Cross Laminated Timberの略で直交集成材を意味します。
ひき板を並べた層を直交方向に重ねて接着したパネルで、1990年代中頃からオーストリアを中心として発展した木質構造用材料です。

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参考記事:木の特性を建築に活かすには。主要な木材の種類と特徴まとめ

CLTのメリット① 素材が軽い
CLTと鉄筋コンクリートを比べてみるとCLTは0.5t/㎡、鉄筋コンクリートは2.4t/㎡で、約5分の1の重量であることが分かります。
今回現場で使用したCLTの木材使用量約1,300㎡を重量に換算してみると、CLTは520t、鉄筋コンクリートは3,120tなので材料輸送費を大幅にカットすることができます。

CLTのメリット② 施工が速い
鉄筋コンクリートを施工する場合、鉄筋・型枠・コンクリートの養生と多くの工程を踏まなければなりません。それに対し、CLTは工場である程度ユニット化し現場で取り付けるため、省施工で工期短縮が可能な材料です。

今回使用したマザーボード※1は八代市産の杉材でできており、八代市からの支給品です。

マザーボード引き受け検査

マザーボード


工場でユニット化したトラス材を搬入し、現場で地組み※2・取り付けを行いました。

地組み状況(現場にて)

地組み状況(現場にて)

組み立て状況


※1 マザーボード...実際の建物で必要とされるCLT寸法をもとに、最適な歩留まりを計算して製造された原判のこと。
※2 地組み...そのまま運搬できない大型構造物を部分的に分割し、現場の地上で建方前に組み立てること。

■木材を使用しているのに準耐火構造?
準耐火構造とは、準耐火建築物等の主要構造部※3に必要とされる構造で、原則として準耐火性能に適合し国土交通省の定めた構造方法によるもの又は、国土交通大臣の認定を受けたもののことをいいます。(建築基準法)
※3 主要構造部...建築物の防火及び避難において主要な構造部分

様々な時間的基準や性能が定められていますが、実は木材を使用してはいけないという表記は一切ありません。準耐火構造でも木材を使用することができます。
ただし、準耐火建築物では構造部材に無垢材を使用することが認められていません。今回使用したCLTのように、耐火材として作られた集成材のみ使用することが可能です。また、使用する場所(壁、柱、床等)によっても様々な基準がありますので気になる方はぜひ調べてみてください。

■まとめ
今回は八代市新庁舎のCLTをご紹介しました。
日本では木材の利用を増やそうという試みで2019年に法改正が行われ、中層規模の木造建築物や木材あらわしの設計がしやすくなりました。
この新庁舎のように、木を基調とした温かみのある親しみやすい空間がこれからどんどん増えていくと思いますのでチェックしてみてください。

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