【木材利用促進月間】木鋼組子®を初採用 コエル渋谷(COERU SHIBUYA)が竣工
毎年10月は「木材利用促進月間」です。若い世代や木材利用に関心の薄い層にもウッド・チェンジにつながる具体的行動を促進するため、木を取り入れたライフスタイルの価値を効果的に発信するとともに、SDGsの視点及び人や社会・環境に配慮した消費行動「倫理的消費(エシカル消費)」の普及啓発の取組を前田建設でも行ってまいります。 道玄坂1丁目ビル作業所(仮称)道玄坂一丁目計画新築工事 道玄坂に当社が開発した木鋼組子®を初採用したコエル渋谷(COERU SHIBUYA)が竣工しました。渋谷区の地形は起伏に富んでいるため、区内には多くの坂があり、名前がついている坂道だけでも30以上あるそうです。2022年6月30日に引き渡し、事務所・飲食店として運営予定です。本工事は、他社に先駆けて都心部の狭小地で木造を取り入れた建築物で、竣工時においては日本最高階の建物となっています。 工事概要 オフィス内観 建物外観(夜Ver.) オフィス内観(セットアップオフィス) 木を使用した構造技術と使用木材 木鋼組子®の仕組み 木質ハイブリッド集成材梁断面図 前述したように、一般流通材を使用できることが強みであるため、木材は集成材として多く用いられるオウシュウアカマツとカラマツを使用しています。 組立中 組立中 木関連で苦労した点や注目ポイント ガイドフレーム組立 接合金物取付 木鋼組子®組立 部材養生 吊り込み 設置完了 まとめ
木材利用促進月間(旧木づかい推進月間)-林野庁
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建設地は発注者の東急不動産様の本社(ソラスタ)前ということから、デザイン性に配慮すると共に、先進的な試みとして4階~13階をセットアップオフィスとしました。仕事中に担当者様とバッタリお会いすることもしばしば...。差し入れを頂いたこともありました。ごちそうさまでした。
渋谷といえば駅前のハチ公像が待ち合わせ場所の定番ですが、本物件はそこから歩いて10分程度の場所に位置しています。地図上のハチ公アイコンは現場職員が自作したものです。
建物名称:COERU SHIBUYA
工事場所:東京都渋谷区道玄坂1丁目20番3号
工事期間:2021年4月1日~2022年6月30日
発注者:東急不動産株式会社
設計・監理:前田建設工業株式会社一級建築士事務所
施工:前田建設工業株式会社 東京建築支店
建物用途:事務所・飲食店
敷地面積:174.56㎡(52.8坪)
建築面積:112.40㎡(34.0坪)
延床面積:1,408.57㎡(426.1坪)
構造・階数:鉄骨造+木造 地上13階
本計画では、木質ハイブリッド耐震システム(木鋼組子®)および木質ハイブリッド集成材梁(耐火被覆として集成材を使用)を用いて、都心狭小地での高層木造化を実現しました。 木鋼組子®とは、木と鉄骨のハイブリッドブレースで、圧縮力に強い「木」と引張力に強い「鉄骨」を組み合わせた靭性の高い耐力要素です。靭性の高さや、一般流通材を使用できる点などから、今後の高層、大規模化の普及につながるシステムです。
木質ハイブリッド集成材梁は、鉄骨造でありながら集成材を耐火被覆として木質感のある仕上げに出来ることが特徴です。見た目は木造でありながら鉄骨造と同様の構造計算が可能な木質構造部材となります。
木鋼組子®の木材は、物によっては工事用エレベーターに斜めに入れてギリギリ収まる長さのため、搬入するだけでも一苦労...。鉄骨躯体にはめ込む形で施工するため、鉄骨ボルト孔のズレや、周囲との干渉が不安要素でした。そのため鉄骨ボルト孔の正確な実測、ガイドフレームの製作調整に注力しました。
また、木材の表面がそのままあらわしとなるため木材への傷・汚れには細心の注意を払い施工しました。職人さんたちの協力もあり、建物内外から木材のぬくもりを感じることが出来る美しい仕上がりとなりました。夜は通りに面したファサードにラチス状の木鋼組子®が浮かび上がります。
木鋼組子®は東京大学 稲山正弘教授ご指導のもと、ユニット化や部材のスリム化、接合部の簡素化に着目した改良を行っており、これらが実現すればコスト、工期ともに競争力の高い木造耐震要素になると考えています。
今回の物件では、耐震要素の性能を出すために複雑なディテールにする必要があったため、施工面で苦労することもありましたが、都市部などの狭小地でも木材利用を促進するためにもさらに技術力を高めていきたいと思います。