第3回 「木造建築物って、何階まで建てられるの?」| 建築基準法再発見!

建築基準法再発見第3回 「木造建築物って、何階まで建てられるの?」

※本記事は2018年7月時点での情報に基づき記されています。現行の建築基準法については、最新の条文をご確認ください。

木造って、普通は2階建て、頑張っても3階建てが限度だって思ってませんか?
建築基準法第27条で「木3共」とか「木3学」と呼ばれる言葉があるので、木造3階建ての共同住宅や木造3階建ての学校までがギリギリってイメージが強いですよね。
また、建築基準法第21条に木造で高さ13m超え又は軒高9m超えに対して厳しいことが書いてあるので、木造は高さ13m・軒高9mがギリギリなんだって思い込んでませんか?

建築基準法再発見第3回 「木造建築物って、何階まで建てられるの?」

それは、単なるイメージです。思い込みです。
「木3共」や「木3学」は1時間準耐火建築物の基準です。準耐火建築物の限度は3階建てが限度ですが、「耐火建築物」であれば上限はありません。
高さ13mや軒高9mは木造すっぴんの場合の限度です。木造でも「耐火構造」にすれば高さの制限はありません。
ということで、何階建てまで建てられるかどうかという問題は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造という主要構造部の材料がどうのこうのというよりも、耐火建築物になるかどうか耐火構造であるかどうかがポイントになります。
さらに階数によって、1時間耐火構造、2時間耐火構造、3時間耐火構造という耐火時間がポイントになります。

建築基準法再発見第3回 「木造建築物って、何階まで建てられるの?」

耐火時間を定めた建築基法施行令第107条を見てみましょう。条文を見る

同条第一号では、主要構造部のうち柱、床及び梁のメインフレームが火災により壊れない時間「非損傷性」が規定されています。
階は下から数えるのではなく、最上階から数えて何番目の階であるかに注目です。
最上階から数えて4番目の階までが1時間耐火構造を要求されています。ですから、4階建の耐火建築物は全階が1時間耐火構造でOKです。
最上階から数えて5番目から14番目の階は2時間耐火構造を要求されています。ですから、5階建ての耐火建築物は1階は2時間耐火構造、2階から5階までは1時間耐火構造になります。
最上階から数えて15番目からは3時間耐火構造が要求されます。最大で3時間耐火構造の規制ですので、木造でも3時間耐火構造にできれば100階建てでも200階建てでも可能となります。
ただし、これは防火避難規定上の解釈ですので、構造規定や施工上の問題は別です。

建築基準法監修:株式会社確認サービス