第4回 「地震、雷、火事、おやじ?」建築基準法の目的とは | 建築基準法再発見!

建築基準法再発見!第4回 「地震、雷、火事、おやじ?」建築基準法の目的とは

昔は怖いものの代表として「地震、雷、火事、おやじ」と言われていました。
今では「おやじ」が怖くなくなって「地震、雷、火事、奥さん」でしょうか?

建築基準法は国民の「生命、健康、財産」を保護することを目的としており、条文構成は次の3つに分かれています。条文を見る

①総則規定=確認申請等の手続きの方法や建築法令用語の定義を定めています。
②単体規定=建築物としての必須法令で、全国の全ての建築物に適用となります。
③集団規定=都市計画区域内の建築物に適用となる法令で、形態に関する規制です。

この内、②単体規定は全ての建築物に必須要件となる「地震、雷、火事、健康」に関する条文の集まりで、「健康」以外の3つは昔の日本の怖いものと同じです。
残念ながら「おやじ」に関する条文は含まれていません。

建築基準法再発見!第4回 「地震、雷、火事、おやじ?」建築基準法の目的とは

単体規定(法第2章)の条文を見ると、「地震、雷、火事、健康」の中でも特に「火事」に関する条文が多くあります。条文を見る
日本は昔から木造の建築物が多くあり、火災による人的被害が多かったことから「火事」の規制がたくさんあるんですね。

「火事」に関する条文を火災の成長段階と比べると、火災の初期段階から「内装制限(法35条の2)」→「避難規定(法35条)」→「防火区画(法36条)」→「耐火建築物等(法27条)」となっています。 火災に耐える規制時間は、内装制限は最大でも20分、防火区画は最大でも1時間、耐火建築物の耐火構造は1~3時間であることから、これらの規制は「建築物を絶対に燃やさない」ためのものではなく「建築物を使用している人が避難する時間を確保する」ためのものであることが分かります。条文を見る

結果的には「火事」に関する条文は「財産としての建築物を燃やさないための規定」ではなく「生命を守るために火災から避難する規定」ということになります。
建築基準法の目的である「生命、健康、財産」の3つの内、一番大切なものは「財産」ではなく、やっぱり「生命」なんです。
「木材は燃え易い=木造建築物は火災に弱い」というのは木造の欠点のみを強調しただけであって、木造建築物でも「建築物を使用している人が避難する時間を確保する」ことで木材の長所を活かした建築物を建てることができるんです。

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(おまけ)残念ながら単体規定には「おやじ」に関する条文はありません。
無理やり探して、施行令第28条(便所の採光及び換気)に「便所には換気のための窓を設けなければならない。」とありますので、「おやじ」の使った後の臭いトイレに娘さんが入りたがらないことへの対策の一環だと考えると、「おやじ」に関する条文でしょうか。

建築基準法監修:株式会社確認サービス