第6回 「仕様規定と性能規定って何?」| 建築基準法再発見!
建築基準法は制定以来「仕様規定」がメインで、「性能規定」は例外・特殊扱いでしたので、設計の基本は「仕様規定」でした。「仕様規定」は構造や形状を具体的な材料や寸法で決めているため、目視・測定により容易に適合性を判断できました。 ところが、設計自由度の向上、国際的な基準との整合性、技術競争による品質向上等の要求・要因により、平成12年施行の法改正で建築基準法に「仕様規定」と「性能規定」の二択制が取り入れられました。設計者は仕様規定か性能規定かの二択で設計をする形になりました。 例えば、不燃材料を規定する法第2条第九号では「不燃性能に関して政令に定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。」と規定されています。 国土交通大臣が2回出てきますが、最初の大臣が「定めた構造方法」というのが「仕様規定」で、後の大臣の「認定を受けたもの」が「性能規定」となります。もちろんこれらの大臣は同一人物であって政府(内閣)の一員ですので、どちらの場合も政府の命令である技術的基準(政令基準)に適合することが前提です。 不燃材料は政令基準(施行令第108条の2)で、火災を20分間受けても①燃えない②壊れない③ガス出さないこと、と規定されています。 この基準に適合するものとして「仕様規定」では、平成12年大臣告示第1400号に「コンクリート、れんが、瓦、厚さ12㎜以上の石膏ボード・・・」と具体的な材料や寸法が定められています。同告示で興味深いのは「石」も定められていることです。構造・材料ごとの仕様規定を定めた告示番号は、資料①をご覧ください。 政令基準に適合するものとして「性能規定」では、構造・材料メーカーが提出した火災・燃焼実験結果等を基に大臣が認めた場合に認定書を交付します。 付番の方法には2種類あって、構造系と材料系に分かれます。 材料系の付番はシンプルで、材料種別アルファベット2文字の後に認定順に4桁番号が付きます。例えば、不燃材料はNM-1234、準不燃材料はQM-2345、難燃材料はRM-3456となります。 構造・材料以外でも性能規定化が進められており、避難規定(法第35条)の「仕様規定」で定められている廊下の幅員1.2mや自然排煙設備の開口1/50が、代わりに「性能規定」である避難安全検証法で設計することもできます。 お問い合わせ先:株式会社確認サービス
どうしても例外・特殊なものについては、旧法第38条による大臣認定(通称サンパチ)による「性能規定」で対応していました。
資料①
認定番号により認定の内容が分かりますので、大臣認定品の付番方法をおさらいしましょう!資料②をご覧ください。 資料②
構造系の付番はちょっと複雑で、例えばFP060FL‐1234のように、構造種別アルファベット2文字(耐火構造の場合はFP)の後に耐火・防火時間が3桁の時間(分単位なので1時間の場合は060)更に部位を示すアルファベット2文字(床の場合はフロアーFL)その後に認定順に4桁番号が付きます。
FP060FL‐1234は、床の1時間耐火構造ということになります。
道路斜線制限(法第56条)の「仕様規定」で定められている1.25や1.5の勾配が、代わりに「性能規定」である天空率で設計することもできるようになっています。
「性能規定」という選択肢ができたことで、設計の自由度が増してきています。
仕様規定に「しよう」か、それとも性能規定に「せい」のう、って感じでしょうか。建築基準法監修:株式会社確認サービス
http://www.kakunin-s.com/
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