第7回 「2019年施行!建築基準法が改正されるのは何故?」| 建築基準法再発見!
法律は、普段の生活ではあまり身近に感じないものですが、私たちの生活においては好き嫌いにかかわらず数多くの法律が適用されています。 法律は制定される前に担当省庁や国会で十分に検討・協議されてから公布されますので、原則的には一度できると改正されずにそのまま施行され続けることになります。コロコロ変わってもみんなが迷惑しますので。 1950年(昭和25年)に制定された建築基準法は、最初は薄っぺらでポケットに入るくらいでした。それから68年経って、度重なる改正で分厚い法令集となり、両手で抱えるようになりました。建築士試験の受験者は頭を抱えています。 建築基準法が改正されるのは大きな災害・事件・事故が起きた後です。 最初の大きな見直しは1970年(昭和45年)の改正で、火災による被害防止のため避難規定が強化され「排煙設備」や「非常用照明」が設けられました。1971年(昭和46年)1月1日の施行です。元日からの施行で設計者の方は年末年始は大変だったでしょうね。 その後、阪神淡路大震災や姉歯事件を経て、その度に見直し改正され現在の分厚い法令集になりました。なお、東日本大震災は被害や犠牲が大きかったのですが、主な原因が津波ということもあり建築基準法の大きな改正はありませんでした。 今年、建築基準法の一部を改正する法律が6月27日に公布されました。 この中で設計者の方にとって影響が大きいのは、一号建築物(法第6条第1項第一号の特殊建築物)の面積が100㎡から200㎡に引き上げられる改正です。 次回は、木造に関する法改正について見ていきましょう。 お問い合わせ先:株式会社確認サービス
法律の悪いところは、読みづらくて融通の利かないところですが、逆に良いところは、みんなに分かる日本語で書いてあって、みんなに平等に適用されるところです。
そんな法律の1つに建築基準法があります。
ところが、法律の改正って結構あります。建築基準法も6月に改正されたばかりです。
何故、改正されるのでしょうか?
建築基準法関連年表をご覧ください。別添資料①
災害・事件・事故により、それまで適法だった建築物なのに大きな被害や多くの犠牲者がでると、より安全より安心な建物とするために法律が改正されます。
年表の右端には、大きな被害や多くの犠牲者がでた災害・事件・事故を記載してあります。
この結果として、左欄の改正が行われています。
次の大きな見直しは1981年(昭和56年)の改正で、地震による被害防止のため構造計算が強化され「新耐震設計法」が制定されました。昭和56年6月1日の施行日は結構有名ですよね。
別添資料②をご覧ください。別添資料②
改正の主旨は、①建築物・市街地の安全性の確保、②既存建築ストックの活用、③木造建築を巡る多様なニーズへの対応の3つです。
今までの改正は災害・事件・事故に対応するために強化が主でしたが、今回の改正は少子高齢化を背景とした既存建築ストックの活用のために緩和が主となっています。
建築基準法制定以来68年間、特殊建築物(とっけん)と言えば100㎡ということが定番となっていましたが、今回の改正で大きく緩和されます。しかも、一気に倍の200㎡です。
この改正に伴って、確認申請手続きを始め添付する図書や単体規定条文の適用の有無が連動して大きく変わります。
施行日は公布から1年以内となっていますので、平成31年6月の予定です。建築基準法監修:株式会社確認サービス
http://www.kakunin-s.com/
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