第8回 「木造建築物の法改正は?」| 建築基準法再発見!
日本では昔から木材が豊富で木造の建築物がたくさんあります。 一方、日本の地震の被害を見ると・・・資料①をご覧ください。資料① 木造建築物に係る規制は主に、①大規模建築物、②特殊建築物、③防火・準防火地域の3つです。1950年(昭和25年)当時の規制は次のとおりです。 その後、1959年(昭和34年)の法改正により、新たな耐火・防火の区分として「耐火建築物の耐火構造」と「その他建築物の木造の防火構造」との中間に新たに「簡易耐火建築物」が位置付けられ、「簡易耐火建築物」の主要構造部の一部で木造が使えることで、②特殊建築物や③防火・準防火地域の規制において木造が少し緩和になりました。 1987年(昭和62年)には、③準防火地域の規制〔法第62条〕において、「耐火建築物」、「簡易耐火建築物」の次に「開口部規制等を強化した木造3階建て」が位置付けられ、③防火・準防火地域の規制において木造が緩和になりました。また、①大規模建築物の規制に「ただし書き」による例外規定が設けられ、「大断面集成材」が認められるようになりました。 1993年(平成5年)には、「耐火構造」に準じる構造として「準耐火構造」が規定され、「簡易耐火建築物」が「準耐火建築物」に変わりました。「準耐火構造」には木材を石膏ボード等で被覆した仕様が定められ、③防火・準防火地域の規制において木造が緩和になりました。このあたりから、いよいよ木造が活躍してきます。準防火地域内の木造3階建ての住宅が当たり前になってきました。 1999年(平成11年)には、①特殊建築物の規制の内、3階建ての共同住宅が準耐火建築物(1時間準耐火構造)でも可能となり、木造3階建ての共同住宅「木3共:もくさんきょう」が可能となりました。似たような基準として2015年(平成27年)には木造3階建ての学校「木3学:もくさんがく」も可能となっています。 2000年(平成12年)には、それまで仕様規定(告示仕様)が原則だった建築基準法に性能規定(大臣認定)の考え方が本格的に取り込まれ、木材・木造でも大臣認定を取得するルートが明確になりました。特に木造の耐火構造が活用され、①大規模建築物、②特殊建築物、③防火・準防火地域の規制上、木造の緩和となっています。 そして、2018年(平成30年)6月27日公布の改正では、①大規模建築物の規制〔法第21条〕が大幅に見直されました。今までの「高さ13m超え又は軒高9m超え」の規制が、「高さ16m超え又は階数4以上」に改正されました。1年以内施行となっていますので2019年(平成31年)6月26日までの政令で定める日となります。施行されるのは平成ではなく新元号になってからです。 次回は、法令の公布日と施行日の違いについて見ていきましょう。 お問い合わせ先:株式会社確認サービス
世界最古の木造建築物は法隆寺です。国宝の姫路城も松本城も犬山城も松江城も、ひこにゃんの居る彦根城も木造です。やっぱ、建物は木造ですよね!
特に犠牲者の多かった1923年(大正12年)関東大震災(死者10万名)では、約9割が火災による焼死となっています。
1950年(昭和25年)に制定された建築基準法が、木造建築物に厳しくなっている理由が分かりますよね。
そんな木造建築物に係る規制の法改正(緩和の流れ)を見ていきたいと思います。
①大規模建築物に係る規制として、高さ13m超え、軒高9m超え又は延べ面積3,000㎡超えの建築物は主要構造部を木造としてはならない〔法第21条〕
②特殊建築物(とっけん)に係る規制として、3階建ての共同住宅などの一定規模以上の特殊建築物は主要構造部を耐火構造としなければならない〔法第27条〕
③防火地域又は準防火地域に係る規制として、防火地域内の延べ面積100㎡超えなどの一定規模以上の建築物は主要構造部を耐火構造としなければならない〔法第61、62条〕
なお、当時の耐火構造はRC造又はS造耐火被覆しか認められていません。結論としては3つとも木造禁止という厳しいものでした。
木造の1時間耐火構造で4階建の耐火建築物が、2時間耐火構造で14階建ての耐火建築物ができます。最近は木造の3時間耐火構造の認定も取得できたようですので、いよいよ15階建てや100階建ての木造建築物も夢ではなくなってきました!
高さ13m超えで16m以下の大規模木造建築物をご計画中の方は、確認申請は新元号までお待ちいただければお得になるかと思います。建築基準法監修:株式会社確認サービス
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インタビュー記事:
木造建築でも大活躍。建築基準法の番人、建築確認審査機関とは?