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第9回 「公布日と施行日って何が違うの?」| 建築基準法再発見!

2019-04-01
建築基準法再発見!第9回 「公布日と施行日って何が違うの?」

法令(法律、施行令、施行規則、大臣告示など)が制定されたり改正されると、広く国民の皆さんに「公布」されます。
国としては国民の皆さんに知ってもらいたいのですが、知らしめる方法が官報に掲載されるだけですので、よほど関心がないと分からないのが現状です。
道路交通法や消費税関係だとテレビのニュースでも話題になり知る機会が多いのですが、建築基準法や建築士法だと自ら調べる気がないと分かりません。
建築業界や建築士の方でさえ良く分かっていないと、確認申請を出して審査で指摘されて初めて「えっ! 法律が変わってたの?」ということになります。
その結果、建築できなくなったり設計を変更せざるを得なくなるのも困りますし、逆に法令が緩くなっていて損した気分になるのも嫌なものです。

そこで、法令の運用については法令が出来たことを知らせる「公布」と実際に法令が適用される「施行」の2段階になっています。(施行の読みは「せこう」でも「しこう」でもOKです。土木・建築業界の方は施工と同じ読みなので「しこう」と言う方が多いようです。)
資料①をご覧ください。資料①
過去の法改正を見ると、「公布日」と「施行日」の2つの日付があります。
「公布日」と「施行日」の間隔は、国民や行政機関の準備期間がどのくらい必要かによって長短が決められます。まったく準備期間が不要な場合は「公布日」イコール「施行日」となります。また、準備に長期間かかる場合は1年後や2年後となっています。設計者の方はこの期間中に着工時期や設計内容を調整・検討することができます。

建築基準法再発見!第9回 「公布日と施行日って何が違うの?」

例えば、新しいところでは平成30年1月15日付けで「公布」された積雪荷重の割増に係る告示改正があります。改正により緩勾配屋根を持つ工場等に厳しいものとなるため1年後の平成31年1月15日付け「施行」となっていました。平成31年1月14日までに駆け込み着工した方もいるかと思います。

現在、公布済み施行待ちの法令としては、平成30年6月27日に「公布」となった建築基準法の一部を改正する法律があります。一部は3ヶ月以内施行で平成30年9月25日に「施行」されましたが、改正の大部分が1年以内施行となっており平成31年(新元号1年)6月26日までに「施行」されることになっています。改正の中身は主に緩和ですので、「施行日」まで確認申請及び着工をお待ちの方もいるかと思います。

法令の制定・改正への対応については、緩和か強化かによって対応が変わってきます。「施行日」までに急いで駆け込み着工するか、「施行日」まで待ってから確認申請をするか、いずれにしろ早目の情報収集がポイントです。

私事で恐縮ですが、最近、ちょっと太ってきたのでダイエットをしなければと決めて「公布」しました。ところが、愛妻の作ってくれたおいしい食事や大好きな粒あんの誘惑が多くて「施行」はまだまだ先になりそうです。

次回は、法令における日数カウントの不思議について見ていきましょう。

建築基準法監修:株式会社確認サービス