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第2回「しょうきぼとっけん」~用途変更/耐火建築物等/竪穴区画~|建築基準法改正を(辛口で甘めに)斬る!

2020-03-19
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法改正の注目ランキング発表の続きです!

 「飴(あめ)」第2位 
 「しょうきぼとっけん(特定小規模特殊建築物)」

 建築物の中でも「とっけん(特殊建築物)」は厳しい規制を受けます。
 でも、ちっちゃい「とっけん」は何とか勘弁してあげても良いんじゃない!?ということで、今回の法改正で、「しょうきぼとっけん(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満)」は今までの規制が大幅に緩和されました。かなり、甘~い!

 新築はもちろんですが、一番ありがたいのは用途変更をする時です。今回の改正では耐火建築物等(法第27条)と併せて竪穴区画(法第36条、令第112条)も大幅に緩和になりました。なので、「しょうきぼとっけん」であれば法的に低いハードルで建築又は用途変更ができるようになりました。ラッキー!

 まずは、法第27条「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」から見ていきましょう。規制をまとめた表がこちらです。(別添①)黄色い部分が今回の改正です。
 今回の緩和の対象となる「とっけん」の用途は、法別表第1の「べっぴょうとっけん」で(1)から(4)に掲げるものです。(5)倉庫と(6)車庫は緩和の対象となっていませんので注意してください。

 ここで、「べっぴょうとっけん」6区分のおさらいをしておきます。(別添②)
 (1)映画館など不特定多数の人たちがギュッと集中して利用する用途
 (2)病院・ホテル・マンションなど人が寝泊まりする就寝施設と福祉施設
 (3)学校・体育館など特定の人たちだけど同時に多数が利用する用途
 (4)物品販売店・飲食店など不特定多数の人たちが利用する店舗
 (5)倉庫など火災になった際に燃えるもの(火災荷重)の多い用途
 (6)車庫など燃えやすいガソリン(危険物)のある火災危険の高い用途

   このうち黄色い部分(1)から(4)が今回、緩和の対象となる用途です。

 改正前までは耐火建築物等にしなければいけませんでしたが、改正により法第27条第1項で「階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの」が除かれました。
これにより「しょうきぼとっけん」であれば、木造でも建築できるし、用途変更なら既設の専用住宅(木造3階建て)でも利用できます。

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 次に防火区画(法第36条、施行令第112条)を見ていきましょう。
 この規定は今回の改正で条文が大幅に変更になりました。
 こちらをご覧ください。(別添③)
「しょうきぼとっけん」の規制は第11項と第12項になります。

 元々の竪穴区画(改正後は第10項)でも、階数が3以下で延べ面積が200㎡以下の住宅は竪穴区画が免除されていました。今回の改正で追加になった「しょうきぼとっけん」は階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の特殊建築物ですので、規模は似ています。用途が「住宅」から更に「とっけん」にまで拡大されました。
 ただし、小規模とはいえ「とっけん」ですので、住宅の様に完全免除ではなく、竪穴区画を構成する扉については規制があります。病院・診療所(入院あり)、福祉施設(入所あり)のものは防火設備(両面20分、2号扉)が必要になります。でも、竪穴区画を構成する間仕切壁には特に規制がありません。

 その他、階段の蹴上・踏面(施行令第23条)でも緩和があり、用途変更で元々住宅仕様の寸法でも「とっけん」として一部利用できるようになりました。
 「しょうきぼとっけん」をうまく活用して、木造で「とっけん」を建築したり、空家の木造住宅を宿泊施設に用途変更したりしてインバウンド・東京オリンピックの宿泊施設等の確保ができると良いですね。
 もちろん全国適用の法改正ですから、東京だけではなく札幌でも活用できますよ!

次回は「ひなんあんぜん(避難時倒壊防止建築物)」を斬ります。



建築基準法監修:株式会社確認サービス